近年、人事業務の効率化や戦略的な人材活用(タレントマネジメント)の重要性が高まっています。その中で注目を集めているのが、クラウド型人事労務ソフト「SmartHR」です。
本記事では、SmartHRの基本情報から具体的な機能、料金プラン、導入のメリット・デメリット、そして導入前に知っておきたいことまで、網羅的に解説します。
SmartHRがどのようなサービスで、自社にどのような価値をもたらすのか、この記事を通じて理解を深めることができるでしょう。
目次
SmartHRとは?-クラウド型人事労務ソフトの概要
SmartHRは、人事・労務手続きを効率化するクラウド型ソフトウェアです。従業員情報の管理、入社手続きのペーパーレス化、年末調整の自動化など、幅広い機能を提供し、人事担当者の業務負担を軽減します。
ここではサービスの概要と、他の人事・労務ソフトとの違いを解説します。
サービスの基本情報
SmartHR(スマートHR)は、株式会社SmartHRが提供する、国内シェアNo.1のクラウド型人事労務ソフトです。
入退社手続き、雇用契約、年末調整、給与明細発行、従業員情報管理といった人事・労務業務をペーパーレスで効率化します。
さらに、収集・蓄積された従業員データを活用し、人事評価、配置シミュレーション、スキル管理などのタレントマネジメント機能も提供。
これにより、業務効率化だけでなく、データに基づいた組織改善や戦略的人事を実現し、企業の成長をサポートします。
他の人事クラウドとの違い
SmartHRの大きな特徴は、人事・労務業務の効率化とタレントマネジメントを一つのプラットフォームで実現できる点です。多くの人事クラウドが特定の領域に特化しているのに対し、SmartHRは従業員情報の収集・蓄積から活用までを一気通貫で行えます。
また、直感的で使いやすいUI/UXも強みで、ITに不慣れな従業員でもスムーズに利用開始できます。さらに、充実したサポート体制や、他社サービスとの豊富な連携実績も、多くの企業に選ばれる理由の一つです。
SmartHRでできること|主な機能一覧と特徴
SmartHRは、人事・労務管理からタレントマネジメントまで、幅広い機能を提供しています。
人事労務管理の機能
入退社手続き、雇用契約、社会保険・労働保険の手続きなどをペーパーレスで完結。従業員自身が情報を直接入力するため、人事担当者の作業負荷を大幅に削減します。また、変更履歴の管理や各種申請・承認ワークフローもオンラインで効率的に行えます。
給与・年末調整機能
給与明細や源泉徴収票をオンラインで発行・配付できます。印刷、封入、郵送といった手間やコストを削減し、配付ミスも防ぎます。年末調整機能では、従業員がアンケート形式で質問に答えるだけで、必要な申告書を自動作成。人事担当者の確認作業も効率化します。
マイナンバー管理、帳票作成、API連携
従業員のマイナンバーを安全に収集・保管し、各種帳票に自動で反映します。アクセス制限や操作ログの記録など、セキュリティ対策も万全です。また、他の給与計算ソフトや勤怠管理システムとのAPI連携も豊富で、既存システムとのスムーズなデータ連携が可能です。
タレントマネジメント
人事評価、配置シミュレーション、スキル管理、従業員サーベイ、分析レポートなど、戦略的な人材活用を支援する機能が充実しています。従業員データを一元管理し、可視化・分析することで、客観的なデータに基づいた人材育成や配置、組織開発を実現します。
SmartHRの料金プラン・費用感は?
ここでは、SmartHRの料金プランや他社サービスとの比較を紹介します。
初期費用・月額料金の目安
SmartHRの料金プランは、初期費用0円から始められます。月額料金は、利用する機能や従業員数に応じて変動する従量課金制が基本ですが、具体的な金額は見積もりが必要です。無料トライアルも用意されているため、実際の操作感や機能を試してから本格導入を検討できます。
プラン | 内容 |
---|---|
HRストラテジー: |
|
人事・労務エッセンシャル: |
|
タレントマネジメント: |
|
基本機能 vs オプション機能
SmartHRは、利用したい機能に応じて複数のプランが用意されています。人事労務管理の基本機能に加え、タレントマネジメント機能や高度な分析機能などがオプションとして提供される場合があります。
有料オプションは下記の通りです。
- 勤怠管理
- SSO/SAML認証
- 通勤経路検索
- 文書配付
- 採用管理
- 人事評価
- 配置シミュレーション
- 学習管理
- 従業員サーベイ
- 分析レポート
- メッセージ
- ID管理
自社の課題や目的に合わせて、必要な機能を柔軟に選択・追加できるのが特徴です。ただし、オプション機能のみの部分契約はできません。オプション機能を利用するには、有料プランのいずれかを契約する必要があります。
他社サービスとの比較
SmartHRは、jinjerやジョブカン労務HRといった競合サービスと比較されることがあります。
下記はSmartHRと、ジョブカン労務HRとジンジャー人事の機能比較一覧になります。
機能 | SmartHR | ジョブカン 労務HR |
ジンジャー人事 (オプション労務利用時) |
|
---|---|---|---|---|
入退社手続き | 入社情報のWeb入力 | 〇 | 〇 | 〇 |
社会保険などの各種書類作成 | 〇 | 〇 | 〇 | |
社会保険の電子申請 | 〇 | 〇 | 〇 | |
雇用契約書の作成 | 〇 | 〇 | 〇 | |
Web給与明細 | 〇 | 〇 | 〇 | |
年末調整 | 〇 | 〇 | 〇 | |
マイナンバー管理 | 〇 | 〇 | 〇 | |
従業員情報管理 | 従業員リスト・住所変更など | 〇 | 〇 | 〇 |
申請ワークフロー | 〇 | △(別プロダクトあり) | 〇 | |
組織分析・管理 | 従業員サーベイ・アンケート | 〇 | ‐ | ‐ |
人事情報の集計・分析 | 〇 | 〇 | 〇 | |
料金(月額)※税込 | 要問合せ | 440円/ID~ | 初期費用 +330円/ID~ |
SmartHRを導入するメリット
SmartHRを導入することで、企業は多くのメリットを享受できます。
- 書類業務・紙からの解放(ペーパーレス): 入退社手続きや年末調整など、従来紙ベースで行っていた業務を大幅に電子化できます。書類の印刷、配布、回収、保管といった手間やコストを削減し、オフィススペースの有効活用にも繋がります。
- 労務リスクの削減(電子申請・法令対応): 社会保険や雇用保険の手続きを電子申請で行えるため、役所への移動時間や待ち時間を削減できます。また、頻繁な法改正にも迅速に対応し、常に最新の状態でシステムを利用できるため、コンプライアンス遵守の観点からも安心です。
- 管理工数・人件費の削減: 従業員情報の一元管理や各種手続きの自動化により、人事労務担当者の作業時間を大幅に削減できます。担当者はより戦略的な業務に集中できるようになり、人件費の最適化にも貢献します。
- リモートワーク・多拠点対応も強い: クラウドベースのサービスであるため、場所を選ばずに利用可能です。リモートワーク中の従業員や、複数の拠点を持つ企業でも、スムーズな情報共有と業務遂行を実現します。
- UI/UXがわかりやすく社内定着しやすい: シンプルで直感的なインターフェースが特徴で、ITツールに不慣れな従業員でも容易に操作できます。導入後の社内教育コストを抑え、スムーズな定着を促進します。
SmartHRのデメリット・注意点
多くのメリットがあるSmartHRですが、導入にあたってはいくつかのデメリットや注意点も理解しておく必要があります。
- 従業員側のITリテラシー: 従業員自身が情報を入力する場面が多いため、スマートフォンやPCの操作に不慣れな従業員が多い場合は、導入初期に丁寧な説明やサポートが必要になることがあります。
- カスタマイズ性の限界: クラウドサービスであるため、オンプレミス型システムのような自由なカスタマイズは難しい場合があります。特殊な業務フローや独自の帳票が多い企業は、標準機能で対応可能か事前に確認が必要です。
- 勤怠管理・給与計算機能の有無: SmartHRは労務管理とタレントマネジメントに強みがありますが、勤怠管理や給与計算の専用機能は限定的です。これらの機能を重視する場合は、他社システムとの連携を前提とするか、機能が充実した別のサービスを検討する必要があります。
SmartHR導入前に知っておきたいこと
SmartHRの導入を成功させるためには、以下の点を事前に確認・準備しておくことが重要です。
-
導入までの流れ・期間:
SMARTHR導入は、トライアルから運用開始まで最短1ヶ月での導入が可能です。まず、トライアルで機能を検証し、運用方法を設計。その後、従業員へ周知し、情報収集を実施。収集した情報を確認後、運用開始となります。
導入の流れ
SMARTHR導入の流れ | |
---|---|
検証(トライアル) | 各機能の試用 (1~2週間) |
設計 | 運用方法や管理情報の定義 (2週間) |
下準備 | 従業員への周知 (2~3営業日) |
収集 | 従業員による情報提出 (1~2週間) |
回収・活用 | 情報確認と運用開始 |
一般的な導入ステップ
- 申し込み
- アカウント設定
- 従業員データ登録
- 各種設定(就業規則、給与規定など)
- 従業員への説明・トレーニング
- 本番運用開始
スムーズな導入には、事前の導入目的と課題の明確化が重要です。企業の規模や準備状況によって期間は変動します。
-
サポート体制とトレーニング: SmartHRは、導入から運用までを支援する多様なサポート体制を提供しています。ヘルプセンターやチャットサポート、オンラインでの個別相談などが利用可能です(プランによる)。
また、導入支援のためのトレーニングプログラムや活用セミナーも用意されている場合があります。自社のITリテラシーや専任担当者の有無などを考慮し、どのようなサポートが必要か事前に確認しておきましょう。
-
既存システム(給与・勤怠)との連携可否: 既に給与計算システムや勤怠管理システムを利用している場合、SmartHRとのデータ連携が可能か、どの程度の連携ができるかを確認することが非常に重要です。
API連携やCSVファイルの入出力など、連携方法は複数あります。スムーズなデータ移行や二重入力の防止のために、既存システムとの互換性や連携の仕様を事前に把握しておきましょう。
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他社製品からの移行時の注意点: 他社の人事労務システムからSmartHRへ移行する場合、データの移行作業が発生します。移行できるデータの範囲や形式、移行にかかる工数などを事前に確認する必要があります。
特に、過去の履歴データやカスタム項目などをどのように移行するかは重要なポイントです。SmartHR側でデータ移行のサポートツールやサービスが提供されている場合もあるため、活用を検討しましょう。
まとめ|SmartHRで人事業務を効率化・DX化しよう
SmartHRは、人事労務業務の大幅な効率化と、データに基づいた戦略的なタレントマネジメントを実現する強力なツールです。ペーパーレス化の推進、法令遵守、管理コストの削減といった直接的な効果に加え、従業員エンゲージメントの向上や組織力の強化といった間接的な効果も期待できます。
自社の課題やニーズを明確にし、SmartHRの機能やメリットを最大限に活用することで、人事業務のDXを推進し、企業の持続的な成長に繋げることができるでしょう。
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