現代の企業経営において、人事給与業務はかつてないほどの複雑化に直面しています。多様化する働き方、頻繁な法改正、そしてデータに基づいた戦略的な人事判断の必要性は、特に大企業にとって喫緊の課題です 。
単なる給与計算ツールではもはや対応しきれない高度な要求に応えるべく開発されたのが、株式会社パトスロゴスが提供するCombosite人事給与です。
本記事では、Combosite人事給与の本質的な機能、料金体系、競合サービスとの違い、そして導入における実践的な考慮事項まで、多角的に徹底解説します。
目次
Combosite人事給与とは?
Combosite人事給与は、株式会社パトスロゴスによって開発された、クラウドベースの人事給与ソリューションです。
ここでは、サービスの基本情報や他の給与計算サービスとの違いを解説します。
サービスの基本情報
Combosite人事給与の開発思想は、「業務の数・時間を減らす」「業務の精度を上げる」「余剰時間を作る」という3つの明確なコンセプトに基づいています。
このサービスの最も際立った特徴は、そのターゲット市場を明確に大手企業へ特化している点です。
開発には、主要なERPパッケージ開発に携わったメンバーの知見と、大手企業200社以上へのヒアリングから得られた実践的なニーズが凝縮されており、エンタープライズグレードの複雑性に対応するための強固な基盤を形成しています。
他の給与計算サービスとの違い
Combosite人事給与と他サービスとの根本的な違いは、給与計算に特化した「エンジン」としての立ち位置にあります。
多くのサービスが勤怠管理なども含むオールインワン型であるのに対し、Combosite人事給与は、大手企業が導入済みの最適な人事システム等とAPIで連携することを前提に設計されています。
このため、大企業特有の複雑な例外処理に強く、データ連携の自動化によって管理工数を劇的に削減できる点が大きな特徴です。
Combosite人事給与でできること|主な機能一覧と特徴
Combosite人事給与の各機能は、大企業が直面する具体的な課題を解決するために精密に設計されています。
Combosite 機能一覧(代表機能抜粋)
カテゴリ | 機能名 | 機能詳細 |
---|---|---|
人事情報管理 | 発令履歴管理 | 雇用発令 |
異動発令 | ||
昇格・降格発令 | ||
兼務発令 | ||
兼務解除発令 | ||
出向・受入・解除・復帰発令 | ||
休職・休職復帰発令 | ||
再雇用発令 | ||
退職発令 | ||
登用発令 | ||
その他発令 | ||
発令一覧表示機能 | 発令登録内容一覧 | |
発令登録一時保存内容一覧 | ||
発令一括取込 | ファイルによる発令データ取込 | |
取込ファイル一覧 | ||
個人情報管理 | 本人情報 | |
家族情報 | ||
住所情報 | ||
緊急連絡先 | ||
保証人 | ||
振込口座 | ||
個人情報一覧表示機能 | 個人情報登録内容一覧 | |
個人情報登録一時保存内容一覧 | ||
従業員情報一覧 | 従業員情報 | |
人事台帳 | 発令履歴 | |
個人情報履歴 | ||
人事ダッシュボード | 各月の個人情報の属性毎の変更件数表示 | |
各月の発令毎の登録件数表示 | ||
全体の従業員数属性別グラフ | ||
出向費用 | 出向費用按分計算 | |
兼務按分 | 兼務按分計算 | |
給与計算 | 給与計算 | 複数締日計算 |
四則演算 | ||
コード表 | ||
条件式 | ||
家族手当 | ||
日割計算 | ||
遡及計算 | ||
変動データ取り込み | ||
固定支給・控除計算 | ||
変動支給・控除計算 | ||
勤怠データ取り込み | ||
勤怠計算 | ||
通勤交通費計算 | ||
社会保険料計算 | ||
住民税計算 | ||
労働保険料計算 | ||
所得税計算 | ||
振込データ作成 | 振込データ作成 | |
給与明細 | 給与明細データ作成 | |
経理仕訳機能 | 経理仕分集計 | |
経理仕分元データ作成 | ||
住民税納付データ作成 | 住民税FBデータ作成 | |
給与ダッシュボード | 全体タスク把握 | |
前月比較 | ||
入社者・休職者・退職者・閾値超過一覧 | ||
遡及対象者 | ||
差引支給額マイナス対象 | ||
再計算対象者指定 | ||
賃金台帳 | 賃金台帳出力 | |
賞与 | 定期賞与 | |
臨時賞与 | ||
決算賞与 | ||
賞与計算 | 複数締日計算 | |
四則演算 | ||
コード表 | ||
条件式 | ||
変動データ取込 | ||
勤怠データ取込 | ||
社会保険料計算 | ||
労働保険料計算 | ||
所得税計算 | ||
賞与ダッシュボード | 全体タスク把握 | |
入社者・休職者・退職者・閾値超過一覧 | ||
取込データ比較 | ||
差引支給額マイナス対象者一覧 | ||
再計算対象者指定 | ||
差引支給額マイナス対象 | ||
賞与振込 | 賞与振込データ作成 | |
賞与明細 | 賞与明細出力 | |
賞与経理仕訳データ作成 | 経理仕分データ集計 | |
経理仕訳元データ作成 | ||
賞与支払届 | 賞与支払届作成 | |
社会保険・労働保険 | 社会保険 | 算定基礎届作成 |
算定基礎届一覧・詳細 | ||
事業所毎算定基礎届一覧 | ||
月額変更届作成 | ||
月額変更届一覧・詳細 | ||
事業所毎月額変更届一覧 | ||
税金(住民税・所得税) | 住民税 | 住民税一括徴収機能 |
住民税決定通知書取込 | ||
給与所得者異動届出書出力 | ||
所得税 | 所得税徴収残高計算用データ集計 | |
所得税徴収残高計算結果表示 | ||
定額減税 | 定額減税対象者抽出 | |
定額減税額控除額管理 | ||
年末調整 | 年末調整 | 申告書データ取り込み |
申告書データ確認 | ||
申告書データ比較 | ||
還付徴収額計算 | ||
徴収発生者一覧 | ||
給与・賞与反映 | ||
源泉徴収票出力 | ||
給与支払報告書出力 | ||
退職者の源泉徴収票出力 | ||
セキュリティ・管理 | セキュリティ | SSO(SAML認証) |
IP制限 | ||
テナント管理 | バックアップ機能 | |
バックアップ復元機能 |
人事情報の一元管理
従業員の基本情報だけではなく、複雑な組織構造を管理するための高度な機能を提供します。異動や昇格などの発令履歴を正確に追跡し、人事ダッシュボードで組織情報を可視化します。
特に、出向者の費用負担計算や複数部署の兼務按分といった、大企業ならではの煩雑な人事情報も一元管理でき、多拠点・多部門にわたる運営の効率化を直接的に支援します。
給与計算の自動化
定型的な計算はもちろん、システム化が困難とされる例外処理の自動化に真価を発揮します。柔軟な計算式設定機能により、企業独自の複雑な手当や控除ロジックをシステムに組み込むことが可能です。
手作業ではミスが発生しやすい日割計算や、過去に遡って差額を調整する遡及計算なども自動化し、給与計算の精度と効率を飛躍的に向上させます。
勤怠・労務管理との連携
様々な勤怠管理システムや他のHR SaaSから勤怠データを自動で取り込むことを前提に設計されています。
このシームレスなデータ連携は、多くの企業で課題となっている手作業でのデータ入力や転記、システム間の数値の突合といった非効率な業務を根絶します。これにより、ヒューマンエラーのリスクを低減し、人事担当者を煩雑な作業から解放します。
年末調整・社会保険手続き
年末調整から社会保険・労働保険関連の手続きまでを包括的にサポートします。算定基礎届や月額変更届といった社会保険関連の書類作成、源泉徴収票の発行など、コンプライアンスに関わる一連の業務をシステム内で完結させることが可能です。
さらに、e-GovやeLTAXを通じた電子申請にも対応しており、行政手続きのペーパーレス化と迅速化を実現します。
セキュリティ・内部統制対応
上場企業に求められる厳格なセキュリティおよび内部統制要件に対応する機能を標準で備えています。シングルサインオン(SSO)やIPアドレス制限、詳細な操作ログ取得機能により、情報漏洩などのリスクを最小限に抑えます。
また、ISMS認証の取得や、J-SOX法に対応する「SOC1 Type2報告書」も受領しており、システムの信頼性を客観的に証明しています。
ご質問やご相談など何でもお気軽にお問い合わせください。
Combosite人事給与の料金プラン・費用感は?
Combosite人事給与の料金プラン・費用感について解説します。
初期費用・月額料金の目安
Combosite人事給与の料金プランは非公開の「要問合せ」です。
これは、顧客ごとに要件が大きく異なる大企業を対象としているためです。最終的な費用は、従業員数、給与規定の複雑さ、連携する外部システムの数、サポート内容など複数の要因に基づき、個社ごとにカスタマイズされた見積もりとして提示されます。
見積もりを希望の方は、下記に必要事項を記入の上、申し込んでください。
ご質問やご相談など何でもお気軽にお問い合わせください。
基本機能 vs オプション機能
Combosite人事給与は、人事担当者の業務を効率化するための56種類の機能を備えています。介護保険料の特定被保険者対応や、給与明細への自動記載など、細かな点までサポート。人事担当者は煩雑な作業から解放され、より重要な業務に集中できます。
他社サービスとの比較
以下の表は、Combosite人事給与、jinjer給与、ジョブカン給与計算の戦略的な違いを示したものになります。
比較項目 | Combosite人事給与 | jinjer給与 | ジョブカン給与計算 |
---|---|---|---|
ターゲット層 | 大手企業 | 中小企業〜大手企業 | スタートアップ
〜中小企業 |
料金モデル | 個別見積もり
(要問合せ) |
ユーザー課金/月
(300円〜550円台) |
ユーザー課金/月
(400円) |
主な強み | 複雑な例外処理、
内部統制対応 |
オールインワンHRプラットフォーム、UI/UX | シンプルさ、低価格 |
連携戦略 | 他社SaaS連携 | jinjerエコシステム内
での統合 |
ジョブカンシリーズ内での統合 |
無料トライアル | (要問合せ) | あり(1ヶ月) | あり(30日間) /無料プラン |
この表から、Combosite人事給与は専門性とカスタマイズ性を追求していることがわかります。
ご質問やご相談など何でもお気軽にお問い合わせください。
Combosite人事給与を導入するメリット
Combosite人事給与の導入は、単なる業務効率化に留まらない、戦略的な価値を企業にもたらします。
書類業務・紙からの解放(ペーパーレス)
Web給与明細の発行や、e-Gov・eLTAXを通じた行政手続きの電子申請に標準対応しているため、紙媒体でのやり取りを大幅に削減できます。これにより、印刷、封入、郵送といった物理的な作業コストと時間を削減できるだけではなく、リモートワーク環境下でも円滑な業務遂行が可能になるでしょう。
労務リスクの削減(電子申請・法令対応)
Combositeの開発チームは、法案が国会で審議されている段階から新機能の開発に着手し、法改正が施行されると同時に、あるいはそれ以前に対応機能をリリースすることを目指しています。その象徴的な事例が、令和6年に実施された「定額減税」への対応です。業界最速クラスで対応機能をリリースし、3月には業務設計のための試験版を、4月には正式版を提供しました。
管理工数・人件費の削減
複雑な給与計算の自動化、他システムとのシームレスなデータ連携、そして給与計算結果の前月比較といったチェック機能により、手作業に起因するミスを撲滅し、確認・修正にかかる時間を大幅に削減します。
これにより、人事担当者はデータ入力や検算といった定型業務から解放され、より付加価値の高い戦略的な業務に集中できるようになります。
リモートワーク・多拠点対応も強い
完全なクラウドネイティブSaaSであるため、インターネット環境さえあれば、場所を問わずにシステムにアクセスできます。本社、支社、工場、さらには海外拠点など、物
理的に分散した拠点で働く従業員を多数抱える大企業の運営モデルに適しています。
UI/UXがわかりやすく社内定着しやすい
マニュアルを熟読しなくても直感的に操作できるインターフェースを目指して設計されています。特に、システムのトップページには業務全体の進捗状況が視覚的に表示されるため、専門の担当者でなくてもワークフローの全体像を容易に把握できます。
Combosite人事給与のデメリット・注意点
Combosite人事給与は非常に強力なソリューションですが、その特性上、導入を検討する際にはいくつかの注意点を理解しておく必要があります。
長期にわたる導入期間
標準的な導入期間として約半年が見込まれています。
要件定義、システム設定、データ移行、並行稼働テスト、ユーザートレーニングといった多岐にわたる工程を伴う大規模なプロジェクトです。
専任のプロジェクトチームの編成や、明確な変更管理計画など、社内の相応のリソース投入が求められます。
小規模・単純な組織には過剰スペックの可能性
Combosite人事給与の最大の強みは、複雑な例外処理に対応できる点にあります。したがって、従業員数が少なく、給与体系が非常にシンプルな企業にとっては、その高度な機能は不要であり、コストに見合わない可能性があります。
SaaSとしてのカスタマイズの制約
クラウド型のSaaSであるため、自社サーバーに構築するオンプレミス型システムのような、ソースコードレベルでの深いカスタマイズには制約があります。導入企業は、自社の業務プロセスをシステムの標準的な機能やベストプラクティスにある程度合わせていく柔軟性が求められます。
Combosite人事給与の評判は
Combosite人事給与のようなエンタープライズ向けソフトウェアの「評判」ですが、一般的な口コミサイトでは、本サービスに関する具体的なレビューが見当たらないのが現状です。
Combosite人事給与の信頼性を測る上で最も重要な指標は、公開されている導入事例となります。
特に、大手アパレルメーカーである株式会社ミキハウスの事例では、導入によってこれまで不透明だった給与処理業務が可視化され、管理が容易になったと報告されています。
参照元:株式会社パトスロゴス「導入事例」
Combosite人事給与導入前に知っておきたいこと
Combosite人事給与の導入を成功させるためには、事前の準備と理解が不可欠です。以下に、検討段階で確認すべき4つの重要事項を挙げます。
導入までの流れ・期間
前述の通り、契約から本稼働までの期間は約半年が目安とされています。この期間には、要件定義、システム設定、既存システムからのデータ移行、新旧システムを並行して稼働させるテスト期間、管理者および従業員へのトレーニング、そして最終的な本稼働開始といったフェーズが含まれます。
サポート体制とトレーニング
Combosite人事給与は、チャット、メール、電話によるサポートを提供しており、導入時の設定支援から稼働後の運用支援まで、包括的なサポート体制を整えています。
既存システム(給与・勤怠)との連携可否
他システムとの連携はCombosite人事給与の核となる強みです。導入を検討する企業は、現在利用している人事情報システム、勤怠管理システム、タレントマネジメントシステムなどの一覧を準備し、それぞれのシステムとどのように連携できるのかを具体的に確認する必要があります。
他社製品からの移行時の注意点
既存の給与システムからの移行は、慎重な計画を要する複雑な作業です。一般的なシステム移行の課題を踏まえ、特に以下の点に注意が必要です。
- データクレンジングとマッピング
- 並行稼働
- 変更管理
まとめ|Combosite人事給与で人事業務を効率化・DX化しよう
Combosite人事給与は、あらゆる企業に適した万能なソリューションではありません。その真価を最も発揮するのは、従業員数が多く、雇用形態や給与体系が複雑で、厳格なコンプライアンスが求められる大手企業です。
レガシーシステムの限界や、中小企業向けに設計された汎用SaaSの機能不足に直面している組織にとって、Combosite人事給与は現状を打破するための強力な選択肢となり得るでしょう。
COMIT HRではパートナーシステムとして、Combosite人事給与を提供しています。
また、月々の給与計算だけではなく、年末調整や住民税の対応、Webだけではなく紙での交付にも対応し、お客様のニーズに合わせた給与計算全般のアウトソーシングを承っています。
自社に最適な給与計算の業務フローを整えて、効率化を推進したいとお考えでしたら、ぜひ弊社にご相談ください。