グロスアップ計算とは?活用事例ややり方の流れをわかりやすく紹介

 公開日:2022年10月6日

グロスアップ計算とは給与の手取り額を決めて雇用契約をしたときに、総支給額を計算する方法です。
総支給額を決めて雇用契約をした場合には、給与を支給するときには雇用者が総支給額から源泉徴収税と社会保険料を控除して労働者に支払います。
源泉徴収税額や社会保険料は総支給額に基づいて計算する仕組みになっているため、労働者に支払う金額も税額や社会保険料も簡単に計算できます。
しかし、給与の手取り額を固定額にするときには、差引支給額から逆算をして総支給額や各種社会保険料を計算しなければなりません。
この際に用いるのがグロスアップ計算です。ここでは手取契約をしてグロスアップ計算をする事例とやり方をわかりやすく解説します。

1.手取契約の活用事例

給与の手取り額を決める手取契約はどのようなときに活用されているのでしょうか。
労働者にとって毎月いくらの収入があるかがわかりやすいので、福利厚生の一環として手取契約をしているケースもあります。
また、海外出向者に対して手取契約を適用するのも典型的です。
国外勤務によって得た給与については日本の所得税ではなく、海外の所得税を納めることになります。
アメリカなどの税率が高い国に出向したときに労働者の手取り額が減らないようにする対応です。
外国籍の労働者を雇用する場合にも手取契約をすることがあります。
所得税の兼ね合いが国によって違うため、労働者にとっては税金を正しく納めるのが困難になりがちです。
会社として税務の負担を引き受けて、手取り額が保証されるように配慮する対応になっています。

2.グロスアップ計算のやり方

グロスアップ計算のやり方は以下の流れで進めるのが一般的です。

1.手取り額から大まかに総支給額を想定する
2.想定した金額を仮の総支給額として社会保険料を計算する
3.課税支給額から所得税を計算する
4.仮の総支給額に基づく仮の手取り額を計算する
5.目標の手取り額と仮の手取り額の差額を仮の支給額から引いて2~4を繰り返す
6.手取り額が収束したら総支給額を確定する

わかりやすく言うと、仮の総支給額を決めて手取り額を計算し、ずれがあったら新たに仮の支給額を決めて計算し直すという作業を繰り返します。
計算する度に仮の総支給額から計算した手取り額が手取契約に基づく金額に近づいていき、最終的に正しい総支給額が決まるという仕組みです。

3.グロスアップ計算の具体例

グロスアップ計算は具体的に計算してみるとわかりやすくなります。
ここでは以下のモデルケースでの計算方法を紹介します。

・手取り額の月収47万5,000円
・一般の事業
・東京都の企業に勤務
・40歳未満で介護保険料なし
・扶養家族なし
・住民税が標準課税で計算対象は所得税と社会保険料のみ

1.手取り額から大まかに総支給額を想定する

総支給額として60万円を想定してまずは計算を始めます。

2.想定した金額を仮の総支給額として社会保険料を計算する

令和4年度の社会保険料は以下のようになっています。

社会保険料 管轄 保険料率
健康保険料 協会けんぽ 10%前後(都道府県ごとに異なる)
介護保険料 協会けんぽ 1.64%
厚生年金保険料 日本年金機構 18.3%
雇用保険料 厚生労働省 一般の事業では0.5%(令和4年10月1日~令和5年3月31日)
労災保険料 厚生労働省 0.25%~6%程度(業務上のリスクが低い事業では0.3%程度)

この手数料率に基づくと本人と会社の折半についても加味すると社会保険料は以下のように計算できます。
健康保険料=60万円×9.81%(東京都)÷2=29,430円
厚生年金保険料=60万円×18.3%÷2=54,900円
雇用保険料=60万円×0.5%=3,000円
労災保険料=60万円×0.3%=1,800円
社会保険料合計=89,130円

3.課税支給額から所得税を計算する

社会保険料から課税支給額を計算すれば、国税庁が公表している源泉徴収税額表を使って所得税額を計算できます。

課税支給額=60万円-89,130円=510,870円
所得税額=31,370円

4.仮の総支給額に基づく仮の手取り額を計算する

仮の総支給額に基づいて仮の手取り額を計算すると以下のようになります。

仮の手取り額=課税支給額-所得税額=479,500円

5.目標の手取り額と仮の手取り額の差額を仮の支給額から引いて2~4を繰り返す

仮の手取り額が目標の手取り額の475,000円に比べてまだ高いので、その差額の4,500円を60万円から引いて、595,5000円として2~4計算します。

6.手取り額が収束したら総支給額を確定する

この計算を繰り返して収束した時点で総支給額が決まります。
小数点以下が動かなくなった時点で総支給額として確定できます。

4.まとめ

グロスアップ計算は手取り額で給与を決める手取契約をするときに必要になる計算です。
やり方は機械的にできますが、手作業でおこなうと莫大な労力がかかります。
手取契約は労働者にとって福利厚生にもなる対応で喜ばれますが、グロスアップ計算をする経理の負担が悩みになりがちです。
COMIT HRではグロスアップ計算を自動化できるSaaSシステムの提案・導入・運用をサポートしています。
給与計算アウトソーシングも承っていますのでぜひご相談ください。

記事監修者

渡邉 大介

InfoDeliver COMIT HR事業ユニット
渡邉 大介(Daisuke Watanabe)

大学卒業後、大手新聞社、IT企業にて20数年間、人事・総務部門で給与計算、労務管理、社会保険など幅広く勤務してきました。人事業務のアウトソーシング導入・運用のプロジェクトマネジャーとして、企業様の課題解決に注力いたします。これまで培った知識と経験を活かし、皆さんに様々な情報をお伝えしていきたいと思います。

\ お悩み中の人事・総務・情報システム部の方必見! /

お悩み中の人事・総務・
情報システム部の方必見!

オンライン上で相談可能

オンライン上で
相談可能

オンライン個別相談ページはこちら
カレンダーからお時間を選ぶだけで、COMIT HRのコンサルタントに、お客様のお悩みを相談できます。
人事・給与システムの移行や給与アウトソーシングをご検討されている方のために、COMIT HRのサービス概要と導入事例を解説しています。
御社の人事サービスコストを診断できます。※所要時間1分
ご質問やご相談など何でもお気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ

03-5405-7996

(受付時間:平日9:00~17:00)