人事業務にAIをどう活用すべきか?活用方法や事例とメリット・デメリットを解説

 公開日:2025年11月26日


最近、AIソリューションのセミナーに参加された方から「人事はAIをどこから取り入れるべきなのか」といったご相談が増えてきています。

人事の現場は、勤怠・給与・評価・採用など幅広い領域が日々の業務として並行するため、一口に「AI活用」と言われても、どこから着手するべきか判断しにくいのが実情です。

そこで本稿では、人事ご担当者がまず考えるべき視点と、実際に効果が出やすい領域について整理してみます。

AIを利用する人事業務の現状

『日本の人事部 人事白書2025』によると、人事業務におけるAI活用は、他の職種に比べて先行している傾向が見られます。

業務におけるAI利用率全体が16.8%であるのに対し、「人事・労務」では39.1%と、3人に1人以上がAIを活用している※1ことが明らかになっています。

実際にAIを利用している人のうち、85.7%が業務の効率化を実感していると回答しており、人事・労務担当者は将来的なAIの浸透にも肯定的である傾向が強いです。


※出典: 『日本の人事部 人事白書2025』

人事部門では約7割(66.5%)が生成AIを何らかの業務で活用※2しており、具体的な活用業務としては「議事録や会議内容の要約」(43.1%)や「チャットボットでの質問対応」(26.0%)といった定型業務や情報処理に関連する業務が多い傾向にあります。

これは、職種全体で「業務の5割以上がルーティンワーク」と捉えている人が半数を超えるという背景もあり、人事業務における煩雑な作業や主観に依存しやすい判断をデータドリブンで効率化・客観化するニーズが高まっていることが伺えます。

AIはすでに業務効率化や生産性向上に貢献し、人事部門の変革を後押ししているのです。

参照元:
※1株式会社ネオマーケティング「人事・労務、情報システムでは3人に1人以上がAIを利用|AIエージェントに関する調査」
※2日本の人事部「人事部門では約7割が生成AIを活用。最も多いのは「議事録や会議内容の要約」」

AIが変える人事業務の範囲は?

AI技術の進化に伴い、人事業務におけるAIの活用範囲は大きく拡大しています。特にAIは、これまで人の長年の経験や勘に頼りがちで属人化しやすかった業務に対し、データドリブンで効率化・客観化をもたらす役割を担っています。

採用

採用業務においてAIは、業務効率化と採用品質の向上の両方に貢献します。

具体的には、応募者の履歴書や職務経歴書の自動スクリーニング、過去の採用データとの照合による候補者のスコアリング、面接の日程調整、そして初期対応を担うAIチャットボットの導入が進んでいます。

これにより採用担当者の負担を大幅に軽減し、採用スピードを向上できます。さらに、AIは面接評価において応募者の回答内容や非言語情報(声のトーン、表情など)を解析し、客観的な評価を行うことで、面接官の主観や偏見に左右されない公平性の高い選考を実現します。

結果として、ミスマッチのリスクを減らし、自社に最適な人材を抽出する精度を向上できるでしょう。

人材育成・教育

AIは、人材育成の領域で個別最適化された学習を実現する上で有効です。

AIエージェントは、各社員のスキルセットや評価結果、キャリア希望、受講履歴などを分析し、最適な研修プログラムを個別に提案できます。スキルギャップに応じた学習プランが提示され、教育担当者の負担を抑えながら研修品質を均一化し、従業員の成長を促進します。

また、AIは個人の目標に基づいたキャリアパスを形成し、社員独自の学習スタイルやスキルギャップに基づいたトレーニングコースを自動で提案することが可能です。社員のニーズを優先した能力開発を支援し、社内人財の流動性の確保にも貢献します。

評価・配置

人事評価におけるAI活用は、客観的で公平な評価を実現します。

AIは、勤務状況やプロジェクトでの成果、スキル習得状況といった多様なデータを統合・分析し、感情的なバイアスがかかりにくい基準に沿った公平かつ透明性の高い評価を可能にします。

また、AIは従業員のスキルや適性、キャリア志向を多角的に分析し、最適な人材配置や社内異動先を提案する配属マッチングシステムにも利用されます。これにより、従来の担当者の経験や主観に頼っていた判断から脱却し、配属判断の根拠を明確にすることで、異動後のパフォーマンス向上やエンゲージメント改善につなげることができます。

勤怠管理から給与計算

勤怠管理や給与計算を含む労務領域は、AIによる工数削減とコンプライアンス強化が特に進む分野です。

AIは、打刻データの自動集計やミス修正、給与計算の自動処理を可能にし、業務時間を大幅に削減します。また、従業員の勤怠データをリアルタイムで常時監視し、未打刻や過剰残業といった異常を即座に検知してアラートを通知する仕組みも構築されています。

これにより、チェック漏れの防止や迅速な対応が可能となり、過重労働の兆候を早期に捉えることで労務リスクの最小化に寄与するでしょう。

人事業務におけるAI活用のメリット

ここでは人事業務においてAIを活用するメリットを解説します。

業務効率化

人事業務におけるAI活用の最大のメリットの一つは、業務効率化と生産性の向上です。

人事部門には、採用候補者のスクリーニングや労務手続き、社内からの問い合わせ対応など、多くの定型的なルーティンワークが含まれます。AIはこれまで時間や手間をかけていたこれらの反復作業を自動化し、業務負担を大幅に軽減します。

例えば、株式会社クスリのアオキではAIチャットボットを導入※1し、問い合わせ対応の75%を自動化に成功※2し、約3,500時間の効率化を実現※3しています。この結果、人事担当者は煩雑な管理業務から解放され、戦略的な人事計画や人材開発といった付加価値の高い業務に集中できるようになっています。

参照元:
※1※2※3パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社「株式会社クスリのアオキ様」

公平性向上

AIの活用は、人事評価における公平性の向上に貢献します。人間が評価を行う場合、一定の基準はあっても担当者によって評価にズレが生じたり、感情的なバイアスが作用したりする可能性があります。

しかし、AIはこれらの主観や偏見を排除し、従業員の勤務実績や成果、スキル習得状況といった多様な客観的データに基づいた評価が可能です。評価の透明性と精度が高まり、従業員が結果に納得しやすくなることで、モチベーション低下を防ぎ、組織全体の信頼性の向上に繋がるでしょう。

データドリブン経営

AIは、人事部門がデータに基づく戦略的な意思決定を行う「データドリブン経営」を実現する上で中心的な役割を担います。

AIは膨大なワークフォースデータ(スキル、評価、勤怠、健康状態など)を高速かつ大規模に分析・解釈し、人間では把握が難しいインサイトを導き出します。ビジネスリーダーはよりスマートで迅速な意思決定を行えるようになるでしょう。

特に、AIは離職兆候の把握やスキルギャップの予測、適切な採用や配置のシミュレーションを可能にします。人事部門が企業の成長を支える戦略的な部門へとステップアップする道筋を提供します。

コスト削減

AIの活用は、業務効率化を通じて直接的なコスト削減に繋がるでしょう。定型的なバックオフィス業務や反復作業(勤怠データの集計、給与計算の自動処理など)をAIが代行することで、人事業務にかかる時間を大幅に短縮し、人件費を含むコスト圧縮が可能です。

IBMのCEOは、人事異動の記録や雇用認証書類の作成などの業務をAIができる仕事として挙げ、人事部門など顧客対応を伴わない職種において、約3割の業務がAIに置き換えられる可能性があると示唆しています。

また、採用業務においても、スクリーニングや日程調整の自動化により採用期間が短縮され、優秀な人材の確保に必要なコスト効率が向上します。

参照元:
※1Ledge.ai「IBMのCEO「バックオフィス従業員の30%が、5年でAIに置き換えられる可能性」 」

組織・人材開発の高度化

AIは、組織および人材開発を高度化し、企業の競争力強化に貢献します。AIは従業員のスキルやデータを分析することで、個々の目標に基づいたカスタマイズされたキャリア開発や学習計画を提案し、社員が社内で今後のキャリア機会を把握できるようサポートします。

また、AIによるデータ分析は、配属後のパフォーマンス予測や最適な配置のシミュレーションを可能にし、未活用人材の発掘を支援します。

さらに、AIは従業員のアンケート結果や人事データを分析し、離職リスクが高い従業員を早期に特定することが可能です。該当社員に対応を促すことで、エンゲージメントと定着率の向上に繋がるでしょう。

人事業務におけるAI活用のデメリット

AI活用におけるメリットがある一方で、デメリットも存在します。

過信・依存による判断力の低下

AIを導入する際の懸念点の一つは、AIへの過度な依存による人間の判断力の低下です。

AIは強力な補助ツールではありますが、最終的な意思決定は必ず人が行うべきであり、AIの出した結果だけで人事評価を行うと、評価基準のブラックボックス化を招く可能性があります。

評価基準や理由を問えない状況は、従業員の不満やモチベーション低下に直結するリスクがあるため、AIによる評価を人の目による確認と組み合わせ、評価の理由を説明できる仕組みを構築することが重要です。

導入・運用コスト

AI導入には、初期の導入コストと継続的な運用コストがかかります。

システムやツールの購入にかかる費用だけでなく、業務フローの見直しや、AIが学習・分析しやすいように人事データを収集・統合・クリーニングするデータ整備に時間と労力がかかります。

さらに、AIツールを最大限に活用するためには、人事担当者や現場の従業員に対して、ツールの基本操作やデータの活用方法、「AIは何ができて何ができないか」という理解を深めるための教育も必要となり、費用面だけでなく教育面でもコストが発生します。費用面での課題は補助金を活用することで軽減できる可能性があります。

評価の不公平性・バイアスの問題

AIは客観的な評価を支援する一方で、評価の不公平性やバイアスを意図せず再生産するリスクがあります。

AIは学習データに基づいて判断を下しますが、その学習データに過去の採用慣行や属性に基づく偏りが含まれていた場合、AIがその傾向を学習し、将来的な評価にも同様のバイアスを発生させる可能性があります。

このようなリスクを回避し、透明性と公平性を保つためには、AIによる評価結果を鵜呑みにせず、最終的な意思決定を人間が行う仕組みが必要です。

運用人材が少ない

AI技術の導入と運用を成功させるためには、その技術を理解し活用できる専門人材の不足が大きな課題となっています。

アメリカのWorkday, Inc.の調査によると、企業でAI/MLの活用が期待値を下回る主な理由として、必要なスキルを備えたリソースの不足が22%であると、回答者によって指摘されています。

人事業務でAIを利用するには、人事データや業務プロセスに深く関わるため、導入初期の準備作業に時間と労力がかかる上に、AIモデルのアップデートや運用の評価・改善を行う人材が必要です。

この人材不足を補うために、DX・AI活用の打開策として信頼できる外部リソースやAIパートナーと連携し、プロジェクトの品質と安全性を確保することが重要といえるでしょう。

参照元:
Workday「AI IQ: 企業における人工知能と機械学習 – レポート」

AI活用方法と実際の事例紹介

人事業務におけるAI活用は多岐にわたり、すでに多くの企業で具体的な成果を上げています。

採用・選考の高度化

ソフトバンク株式会社は、動画面接の評価にAIシステムを導入し、熟練の採用担当者の評価を学習させることで、選考にかかる時間を従来比で約70%削減する見込みです。この削減された時間は、インターンシップの拡充など戦略的な採用活動に充てられています。

参照元:
ソフトバンク株式会社「新卒採用選考における動画面接の評価にAIシステムを導入」

配置・育成の最適化

株式会社サイバーエージェントは、新卒入社の従業員に対し、本人の希望や適性情報をもとに最も活躍できる部署を導き出すAI活用型の配属マッチングシステムを導入※1しました。

さらに、NECソリューションイノベータ株式会社は、自治体向けに人事異動事務を最適化するAIを開発し、異動案のチェックにかかる時間を92%削減※2するなど、属人的な業務の効率化に成功しています。

参照元:
※1日本経済新聞「サイバー、新卒配属にAI活用 170人×100部署マッチング」
※2NECソリューションイノベータ株式会社「NECソリューションイノベータ、自治体向け「NEC 人事異動AI支援ソリューション」を提供開始」

定型業務の自動化とエンゲージメント管理

定型業務の自動化では、前述した株式会社クスリのアオキがAIチャットボットを導入し、人事・給与・福利厚生に関する問い合わせの75%を自動化し、担当者の年間業務時間を約3,500時間も効率化しました。

また、株式会社アッテルは、AIによるデータ分析を活用して離職防止サーベイを提供しています。

これらの事例から、AIは人事業務のフロントエンドからバックエンドまで、幅広い領域で具体的な効率化と高度化を実現していることが分かります。

参照元:
株式会社アッテル「アッテルサーベイ」

COMITHRが描く『人事×AI』のこれから」

COMITHRでは・AI顔認証勤怠管理・AI年調など、現場の負荷を確実に下げられる領域からAIサービスを拡張していきます。

COMITHRのAI顔認証勤怠管理

COMIT HRのAI顔認証勤怠管理システムは、世界トップクラスのAI顔認証技術を搭載し、高精度な出退勤管理を次のステージへと進化させるソリューションです。

このシステムは、AI画像認識技術を活用して精度の高い顔認証を実現し、スムーズな出退勤管理を可能にします。特に、マスク着用時や、手が汚れる現場作業者でも簡単に打刻できるため、幅広い業態での利用が想定されています。

また、セキュリティ面においても、世界的に実績のある顔認証技術を採用しており、なりすまし防止やリアルタイム検証機能を搭載し、欧州の一般データ保護規則「GDPR」に合格済みという高い信頼性を確保しています。

さらに、このシステムは、打刻カードが不要でノータッチで打刻が完了するため、打刻カード忘れや紛失、テンポラリーカードを発行する必要がなく、感染症予防の観点からも衛生的で快適な出退勤手続きを提供します。

人事部門に対するメリットとして、会社全体の勤怠管理の業務効率化とセキュリティ強化が挙げられるでしょう。

正確な出退勤データを手入力不要で取得できるため、手動入力や打刻ミスがゼロになり、勤怠管理担当者の負担を大幅に軽減できます。また、既存の勤怠管理・給与計算システムとシームレスに自動連携する機能(API活用による他社ツールとの統合も簡単) により、システム間のデータ移行や調整の手間が削減されます。

参照元:COMIT HR「AI顔認証勤怠管理システム」

COMITHRのAI年調

COMITHRのAI年調サービスは、従来の煩雑で負荷の高かった年末調整業務を、AIと人の協働によるハイブリッド運用モデルで抜本的に効率化するBPOサービスです。

人事部門が毎年直面する年末調整の課題には、申告内容のチェックやその不備対応、従業員からの問い合わせ対応にかかる膨大な工数に加え、特に従業員数の多い大企業は繁忙期における臨時人員の採用と教育といった人件費・研修費に関する課題も含まれます。

このサービスは、これらの課題を大幅に軽減し、年末調整業務にかかる作業負荷を最大45%以上削減することを目標としています。

AIが担う具体的な役割と効率化

COMITHRのAI年調の中核となるのが、COMITEye(文脈理解型OCR)とRuleLLM(ルール判断AI)です。主にデータ入力・帳票取込と内容判定・エラー抽出の領域を担います。

COMITEyeとRuleLLMの特徴は以下の通りです。

COMITEye
(文脈理解型OCR)
  • 各種帳票をAIが自動認識し、文脈を理解しながらデータ構造化・データ化
  • 非定型フォーマットにも対応可能
  • AIは生命保険控除証明書などを読み取り、適切な項目に自動で割り当て
RuleLLM
(ルール判断AI)
  • 税制ルールやロジックをAIが論理的に判定
  • 申請誤りや入力漏れを自動で抽出

AIによる一次チェックと、人の最終確認(二次チェック)の体制に移行することで、業務効果が飛躍的に向上します。

以下の表は、対象500人ベースで試算した業務効果見込みです。

業務効果 従来 導入後(AI+BPOモデル) 削減/向上率
工数削減 70時間 35時間 ▲50%
品質安定性 平均90%程度 平均98% 90%から98%へ向上
原価率 287,800円 150,000円 ▲47.8%
納期短縮 70時間 35時間 ▲50%

本サービスを導入することで、人事部門は、年末調整業務において、煩雑な作業負荷や臨時人員の採用・教育の課題を大幅に軽減することが可能です。また、工数削減に加え、採用費や研修費といった人件費の圧縮も実現でき、戦略的な業務に集中できるというメリットが期待できるでしょう。

まとめ

人事業務におけるAI活用は、人材不足の解消やDX推進といった企業の喫緊の課題に対し、不可欠な戦略です。定型業務の効率化や公平な評価、データドリブンな意思決定は、組織の競争力を大きく高めるでしょう。

しかし、AI活用の前提には「業務プロセスの整理」や「正確なデータ管理」が必要です。また、AI戦略などのコア業務に注力するためには、既存の定型業務をスリム化する体制づくりも欠かせません。

「COMIT HR」では、勤怠管理から給与計算まで一気通貫で任せられる人事アウトソーシングサービスを提供し、貴社のDX・AI活用の土台作りを支援します。

「属人化が進んでいる」
「勤怠が複雑でシステム選定に迷っている」
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無理なく運用できる最適な仕組みを構築し、人事部の負荷軽減と、AI活用を含む業務効率化を力強く支援いたします。

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