フルアウトソーシングとは、一部の作業だけのアウトソーシングではなく、業務機能の殆どをアウトソーシングすることを指します。人事や給与に関するフルアウトソーシングとは、人事課、給与課、労務課等に成り代わり、その発生する全ての業務を業務委託の形で一括で受けるサービスです。
目次
フルアウトソーシングをおこなう目的
企業がアウトソーシングをおこなう目的は複数あり、人材の補填、コストの削減、戦略的な企業運営などが大きな目的であります。コストダウンだけを目的にフルアウトソーシングを、というのは短期的な視点であり、中長期的な視点に立てば、アウトソーシング下にありつつも知識やノウハウを蓄積した上での効果検証、戦略的な運営が求められます。
目的1:人材の補填
多くの企業では、フルアウトソーシングの目的の殆どは、リソースの補填にあります。リソースとは社内における【人材】、【設備】、【お金】などの経営資源を指します。その中でも、人材の不足を補うためのアウトソーシングが主流です。基本的には、会社にリソースがないからアウトソースをせざるを得ないのです。
企業がアウトソーシングしている業務は、施設管理、物流、経理・財務、福利厚生、製造、情報システム、総務、人事・研修、営業、経営企画などさまざまです。事務や受付であれば代表的なアウトソースは派遣社員の採用です。また、会計や給与計算業務であれば、企業においては必ず必要な業務ではあるものの、規則や法律に則った上で正確性の高さと専門性が必要とあり、慣れない社員が対応するとミスも発生して時間がかかるため、アウトソーシングする方が効率良く合理的です。
目的2:コストダウン
アウトソーシングにおけるコストダウンは、社内リソースとアウトソース時のリソースにおけるコストを比較した結果、アウトソーサーが安価であればコストダウンが可能になります。また、新規事業などにおいては、最初から新たな人員採用や設備投資はせず、アウトソーシングを活用することでコストダウンを実現することもあります。
アウトソーサー側の設備や人員などのリソースを、必要なタイミングで、必要な分だけ活用することで、社内リソースであれば固定費であった人件費を変動費扱いにすることで、コストダウンを図ることが可能になります。
目的3:戦略的アウトソーシングの進展
リソースの補填やコストダウンだけではなく、アウトソーシング活用を戦略的におこなうことを目的とした企業も増えてきています。
自社の戦略に適したアウトソーサーを利用することで、自社のリソースだけでは構築できなかった優位性を構築し、更なる売上や利益を伸ばすことが可能です。また、ノンコア業務をアウトソーシングすることで、自社の貴重なリソースをコア業務(得意な分野)へ集中させることが出来るメリットも持ちます。
フルアウトソーシングによるメリット・デメリット
フルアウトソーシングにおけるメリットには次の点が挙げられます。

メリット
専門知識を有する人材の確保・人手不足への対応
特に中小企業であれば人材の確保が困難になっている現状があり、さらに人事や経理などの専門性が求められる人材の獲得は年々厳しくなっています。アウトソーシングを活用することで、社外の高い専門性を有した人材の活用ができることは大きなメリットです。
コア業務の強化と人材の有効活用
多角的なビジネス展開をしている企業であれば、「集中と選択」という考えに従い、不採算であっても伸びシロがあればノンコア業務をアウトソーシングすることで効率化を図り、コスト削減を進め、コア業務に人材を集中させるといった人材の有効活用が可能になります。
人件費などのコスト削減
高い専門知識を有した人材を活用できることで、人材育成、採用における労力や時間的なコストの大幅な削減ができることが、アウトソーシング導入における一番のメリットです。
デメリット
ナレッジやノウハウの蓄積がされにくい
外部委託する「フルアウトソーシング」においては、とくに発生しやすいデメリットです。業務をほぼ委託してしまうため、社内では、該当業務に精通した人材の育成が困難になってしまいます。そのような状態が長く続けば、アウトソーシングを継続しつづけるので、長期的に見た場合、かえってコスト増になることもあります。また、十分な分析、標準化も無しにアウトソーシングを導入することは、失敗しやすく、こちらもコスト増につながりやすいです。
セキュリティへの不安
アウトソーシングをおこなう場合、アウトソーサーと自社の情報を共有する必要があります。アウトソーサー側からの機密情報の漏洩リスクが発生するため、信頼関係が構築できてセキュリティ意識が高い委託先を選びましょう。
アウトソースへの下準備がかかる
アウトソーサーを選別する前に、自社業務のどの分野がどのように変わるか、変える為にはどのような努力や作業が必要となるか、改善する指標をはっきりとさせるなどのプロセスが最低限必要となります。会社にリソースがないから、なんとなくアウトソーシングしてしまうと、思ったほどの効果を見込めなかったり、余計に業務の煩雑化を招くなど、成功の為には十分な指標が必要になります。
アウトソーシングを成功に導く指標作成
前述したアウトソーシングのデメリットを回避し、成功する為には指標作成が必要となります。現代におけるアウトソーシングは、収益性の向上を図る上でも、経営戦略において極めて重要です。そのアウトソーシングを成功させるために、As-IsとTo-Beのギャップ分析を実行し、明確な指標づくりをおこないましょう。
①As-Is分析(現状のプロセスの分析)
- その業務に何時間かかっているのか?
- 時給計算で人件費はいくらか?
- その業務はどれだけの売上を出しているのか?
など、現状のビジネスプロセスの可視化が必要になります
②To-Be分析(将来のあるべきプロセスの分析と策定)
- 人件費、売上をどれくらいの数値で設定すれば利益がでるか?
- それを実現するにはどうすればいいか?
など、経営課題や業務課題を解決するために中長期的に目指すビジネスプロセスを可視化します。
業務課題を解決したビジネスプロセスを可視化することにより、アウトソーシングによって実現したい要求内容を具体的にします。
まとめ
収益性の向上を図る上で、フルアウトソーシングの活用は経営戦略上重要です。そのアウトソーシングを成功させるには、事前に自社のビジネスプロセスを明確にし、As-IsとTo-Beとのギャップ分析が必要になります。「何をどれだけ改善しようとしているのか?」を社内で明確にし、本来の目的を理解し、アウトソーサーも含めてプロジェクト全員に共有浸透させることが極めて重要といえるでしょう。COMIT HRでは、人事や給与に関するフルアウトソーシングにもご対応いたします。検討されている企業担当者様は、ぜひ、お気軽にご相談ください。