公開日:2023年9月25日 人材不足や業務効率化のニーズからアウトソーシングが注目されています。
この記事では、人事労務のアウトソーシングに伴うメリットとデメリット、そして最適な選び方について解説します。
企業の人事労務を見直す際の参考にしてください。
目次
人事労務アウトソーシングとは？
人事労務アウトソーシングとは企業が社内で行っている人事労務に関連する業務を外部に委託する手法です。
人事労務をアウトソーシングすることによって、企業は業務負担とコストの削減を実現し、業務の効率化を実現できます。
人事労務アウトソーシングの主要な役割やアウトソーシングの基本概念を解説ましょう。
人事労務業務の主要な役割
人事労務業務は、人事管理と労務管理の2つの主要な役割にわけられます。
人事は社員に対して仕事を与えて育成するコーチとしての存在であり、労務は社員が働きやすい環境を整えるマネージャーのような存在といえるでしょう。
人事管理
人事管理は、人材採用と育成、規則と処遇に関連して社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるような環境構築が役割です。
人事管理における主要な役割には下記があります。
- 人材の採用
- 教育
- 規則の策定・遵守
労務管理
労務管理は、労働環境の監視、改善、従業員の働きやすさを向上が役割です。
労務管理における主要な役割には下記があります。
- 給与計算
- 勤怠管理
- 社会保険
- 福利厚生に関連する業務
アウトソーシングの基本的な概念とは
アウトソーシングとは、特定の業務を外部に委託して企業のプロセスを運用する手法です。通常の外部委託や一時的な外部委託もアウトソーシングに該当します。
たとえば、企業のオウンドメディア運用を考えてみましょう。メルマガの配信やブログの記事作成など単一の業務を外部に委託することで、効率的な運用が可能です。
従来型のアウトソーシングでは業務ごとのコスト削減が可能です。オフショアでの単純作業委託もコストダウン手段として導入されてきました。
BPOもアウトソーシングの一種です。アウトソーシングが自社業務の一部を外部に委託することに対し、BPO（BusinessProcessOutsourcing）は業務プロセスを一括して外部委託することです。
人事労務アウトソーシングの主要なメリット
人事労務の業務を外部に委託することは企業に多くのメリットをもたらします。人事労務アウトソーシングすることで企業が得られる代表的なメリットには下記があります。
- 業務効率化とコスト削減
- 法令変更への迅速な対応
- 人事労務の専門性を確保
- 人材の確保や教育の時間
- リモートワーク環境下での業務継続
業務効率化とコスト削減
人事労務アウトソーシングの主要なメリットの一つは、業務効率化とコスト削減です。専門的なノウハウを持つアウトソーサーに人事労務を委託することは、業務の効率化につながります。
具体的には、アウトソーサーに自社業務に対しての改善提案を受けることで業務効率を向上させます。従業員や人事労務担当者への負担を軽減し、コア業務に集中できる環境を構築することで社内リソースの改善と業務品質向上が期待できるでしょう。
従来は紙で取り扱っていた書類管理も、アウトソーシングすることでデジタルに改善できます。ペーパーレス化は業務効率化だけでなくコストも削減します。
人事労務アウトソーシングは、業務効率化とコスト削減の観点から見ても価値のある選択肢といえるでしょう。
法令変更への迅速な対応
人事労務アウトソーシングのメリットには法令改正への敏速な対応があります。
税務関連の法令改正は頻繁におこなわれます。自社で対応する場合は専門人材の採用や煩雑な申請作業にリソースがかかります。
人事労務の業務を専門的なアウトソーサーに委託することで法改正に即座に対応します。自社が変更点を見落としたり、違反による罰則のリスクを大幅に軽減できるでしょう。
近年は働き方改革の影響で、社会保険関連法や労働基準法など関連法令の改正が頻繁におこなわれています。アウトソーシングを通じた適切な法令対応は煩雑なプロセスやコストを削減できます。
人事労務の専門性を確保
企業が人事労務アウトソーシングを選択するメリットの一つは専門性の確保です。人事労務の業務内容には、給与や保険、年末調整等、従業員の生活と密接に関わる業務が含まれています。
業務におけるミスは従業員の満足度とモチベーションの低下につながり、手続きにも手間がかかるでしょう。アウトソーシングすることで、専門的知識を持つプロが対応してくれるためミスが起こる心配はなくなります。
アウトソーサーは多くの企業から業務を受託するため、幅広い事例とノウハウを保有しています。高度な知識と経験によって専門的なコンサルティングを提供しているため、圧倒的なパフォーマンス向上が期待できるでしょう。
人材の確保や教育の時間
人事労務アウトソーシングは従業員の採用や教育にかかるコストを削減できます。
近年、働き方の多様化にともなって離職率が高まっています。企業では人材雇用や教育に関する課題を抱えています。アウトソーシングは特定業務を専門会社に委託するため、採用や教育、メンバーマネジメントにかかるコストが不要です。
社員教育などを完全にアウトソーシングすることも可能で、委託先企業の高度な技術や培った専門的なノウハウを取り入れることが可能です。業務に応じてノウハウや専門知識を活用した教育や研修、豊富なデータベースへのアクセスが提供され、多岐にわたるサポートが期待できるでしょう。
就職活動が長期化し採用手法が多様化した現代では社内だけの採用対応が難しいため、人事労務アウトソーシングは戦略的な選択肢として増えています。
リモートワーク環境下での業務継続
人事労務アウトソーシングはリモートワーク環境下での業務継続において、企業にとって貴重な選択肢です。
近年、在宅勤務の増加に伴って人事部門における在宅勤務の課題が浮かび上がりました。人事労務におけるセンシティブな情報の取り扱いや専用システムの利用、紙の証明書発行などが在宅勤務では対応が困難でしたが、アウトソーシングによって企業は在宅勤務を円滑に実施可能です。
人事労務アウトソーシングは迅速な対応が可能で、急速に変化する現代のビジネス環境において柔軟な働き方をサポートしてくれるでしょう。
アウトソーシングのデメリットとその対処法
人事労務に関連した業務をアウトソーシングすることは複数のメリットがありますが、長期的な観点ではデメリットが発生するリスクも生じます。
人事労務アウトソーシングのデメリットには下記があります。
- 情報管理とデータ漏洩のリスク
- 内部ノウハウの喪失とその対策
- 適切なコミュニケーションの確保の重要性
情報管理とデータ漏洩のリスク
情報漏洩のリスクは、人事労務アウトソーシングにおける重要な懸念事項でしょう。
外部委託先が適切なセキュリティ対策を怠った場合、個人情報や機密データが不正にアクセスされる可能性が生じます。企業にとっては信頼喪失や法的責任が伴うリスクが高まります。
情報漏洩を未然に防ぐためには委託先のセキュリティ体制を入念に確認しましょう。信頼性の高いサービスを選択することが重要です。
COMITHRのワークフローシステムでは、企業に合わせたカスタマイズが可能です。従来は紙でおこなっていた申請業務も電子化できるため情報管理がスムーズになり、データ漏洩のリスク軽減につながります。
内部ノウハウの喪失とその対策
アウトソーシングの利用は、社内での業務ノウハウの蓄積が困難となるため将来的なリスクが生じます。社内で人材育成ができなくなるため、業務を完全に外部委託せざるを得ない場面も生まれてしまい、コストが増大になるケースも想定できます。
ノウハウの喪失を避けるためには業務内容や進行方法などを一部自社で保持する必要があります。アウトソーシングが不可能になった場合にも、自社対応できるようにしておきましょう。
COMITHRでは、必要な情報を人事担当者が自由に抽出できるシステムを提供しています。アウトソーサーと企業間で業務状況を共有できるため、ノウハウの停滞を防ぎます。
適切なコミュニケーションの確保の重要性
人事労務をアウトソーシングする場合、委託先と適切なコミュニケーションを確保することが重要です。
委託先が遠方のため意思の疎通が難しく互いの認識がすれ違う場合、作業指示に誤りが生じることがあります。業務に問題が発生した場合には、迅速な対応が求められます。委託先とのコミュニケーションが円滑でなければ、情報共有に時間がかかり対応が遅れてしまいます。
アウトソーシングの効果を最大限に引き出すためには、定期的なコミュニケーションや問題発生時の情報共有の仕組み構築が不可欠といえるでしょう。
COMITHRでは、契約前の事前相談もオンラインで気軽におこなえます。企業とアウトソーサー間での認識の相違やギャップを無くし、迅速で柔軟なコミュニケーションをお約束します。
アウトソーシングで依頼できる主要な人事労務業務
人事労務アウトソーシングの業務範囲は委託先によって異なるため、事前に詳細を確認し、最適なサービス提供者を選ぶことが重要です。アウトソーシングできる主要な人事労務業務には下記の２種類があります。
- システム活用型:給与計算、勤怠管理など
- 人間の専門知識が必要:労務相談、労働トラブル対応
システム活用型:給与計算、勤怠管理など
システム活用型の人事労務業務とは、ITツールやクラウドシステムを駆使して効率的に処理できる業務を指します。
給与計算や勤怠管理などに対応し、システム管理と合わせて作業ミスの防止や打刻漏れのチェックもおこないます。自社で行うと人為的なミスが発生しやすい業務のため、委託することで手間を削減して正確性を向上させます。
アウトソーシングによってシステムを活用する場合、給与計算システムの導入や担当者の教育費なども不要になるためコスト削減にも効果を発揮するでしょう。
COMITHRは企業の課題やニーズに合った人事SaaSシステムを提案する労務代行サービスで、クラウド型BPOリソースとITプラットフォームCOMITを活用しています。
人間の専門知識が必要:労務相談、労働トラブル対応
人事労務のアウトソーシングにはシステム活用だけでは対応が不十分な業務が含まれています。
労務相談や労働トラブル対応、社会保険や雇用保険の手続き、法改正への適切な対応など、専門的な知識と経験が必要な業務です。
企業規模が大きくなるほど人材の採用と育成が必要となり、人事労務アウトソーシングの利用は高度な専門人材を獲得するための有効な手法といえるでしょう。
COMITHRが提供するBPaaSは、クラウドをベースとしてビジネスプロセスの自動化を進めるサービスです。BPOとクラウド型人事SaaSシステムを組み合わせて、大幅な業務の外部委託化を実現します。
既存のシステムを残しつつ最適なシステム構成をカスタマイズすることも可能です。
アウトソーシングを成功に導くための選び方とポイント
人事労務をアウトソーシングするにあたっては、自社の人事課題を整理することが重要です。なぜアウトソーシングが必要なのか、目的をはっきりさせましょう。
人事労務業務をアウトソーシングする際には、下記3つのポイントに考慮してください。
- 信頼性と実績の確認
- サポート体制と対応力
- 料金体系の透明性と合理性
信頼性と実績の確認
アウトソーサーを選ぶ際には、信頼性と実績の確認が重要です。初めてアウトソーシングする場合、疑問点に迅速に回答できるサポート体制が整備されていることは信頼につながります。
実績豊富なアウトソーサーは、人事労務に関するノウハウを蓄積しており、イレギュラーな事態が起こったとしてもスムーズな対応が可能です。
定期的なフィードバックや連携も業務の効率化につながるため、人事労務アウトソーシングを選ぶ際の重要なポイントといえます。
サポート体制と対応力
人事労務のアウトソーシングは、アウトソーサーによって得意とする分野が異なります。たとえば、人事管理に特化した企業もあれば、労務領域に力を入れている企業もあります。
自社のビジネス内容とマッチングしたアウトソーサーを選ぶことで、高度で柔軟性の高いサポートを得られるようになるでしょう。
そのため人事労務アウトソーシングにおける適切なパートナー選びは重要で、自社の課題に対応できるかどうかが選ぶ際のポイントです。
事前に自社の課題を明確にしておくことで、パートナーを選びをスムーズにおこなえます。
料金体系の透明性と合理性
人事労務アウトソーシングの料金体系には、月単位と業務単位の2つの選択肢があります。
月単位
月単位とは、毎月の料金が一定で決まっているプランです。費用の見積もりが簡単で、依頼内容によっては業務単位よりもコストが割安になるメリットがあります。
デメリットとして、業務の量や範囲が増加するととで料金も増加することや、業務が少ない月にも費用が発生することが挙げられます。
業務単位
業務単位とは、個々の業務を別々に依頼できるプランです。アウトソーシングする業務が特定されている場合にはムダな費用が発生しにくいメリットがあります。
委託先によっては初期費用が発生する場合もあるため、プラン内容をよく確認しましょう。
まとめ:人事労務アウトソーシングの賢い活用法
人事労務アウトソーシングは、人事管理、労務管理における業務を外部専門機関に委託することで企業内の業務負担を減少させます。同時にコスト削減と業務の効率化を図ることができるメリットを持ちます。
働き方改革の要求や長時間労働の是正動向に対応するため、アウトソーシングへのアプローチは今後ますます重要視されていくことでしょう。
効果的な人事労務アウトソーシングは、複数の業務を適切に組み合わせることが求められます。アウトソーシングが適切に機能することで、組織は成長し競争力を維持できます。
人事労務アウトソーシングは、組織の成功を左右する重要な要素ともいえるでしょう。
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