パーパス経営が注目される理由とは?事例と取組みのポイントを紹介

 公開日:2023年1月24日

近年注目されているパーパス経営をご存じでしょうか。
パーパス経営とは、自社の存在意義を明確にし、社会に対してどのように貢献していくのかという「パーパス(目的)」を掲げて企業活動を行うことです。

本記事では、パーパス経営が注目されている理由を含め、そのメリットと実際の事例について紹介します。

パーパス経営が注目される理由とは

2015年に9月に開催された国際サミットにおいて全会一致で「SDGs」が採択されました。
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指そうとする国際目標のことです。
また、それに関連するサステナビリティ(Sustainability)は「持続可能性」と訳されますが、人間・社会・地球環境の持続可能な発展という意味で使われます。
地球環境保護の観点で用いられることが多い言葉ですが、そのほかに経済や社会の格差、人権・健康・食生活など人間を取り巻くあらゆる問題を解決し、よりよい世界を目指そうという概念を指します。
こうした国際的な取り組みを背景に、企業においても利益だけを追求するのではなく、環境や社会の発展にも目を向け、長期的に事業を持続することに関心が集まりました。
そして、サステナビリティの概念に基づいてパーパス(目的)を策定することが求められています。

パーパス経営が注目されている理由はそれだけではありません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透もその理由の一つです。
IT化を推進し業務の変革や改善を目指すには、既存の事業構造や業務プロセスを根本から見直す必要があります。
そのためには、「自社は何のために存在しているのか」「自社に求められているものは何か」という、まさに原点に立ち返り考えなくてはなりません。
つまり、逆説的に言えば、自社のイノベーションを目指すならば、パーパス(目的)の見直しが必要不可欠だということになるのです。

パーパス経営のメリット

パーパス経営が、社会的に意味をもたらせることを前提としていることは先に述べたとおりです。
パーパス経営の推進にあたり、自社が培ってきたノウハウや強みを活かしたパーパスを策定することをお勧めします。

パーパス経営の具体的なメリットについて、まず挙げられるのは従業員のエンゲージメントの向上です。
エンゲージメントという英単語は、約束・契約などを指しますが、ビジネスにおいては、「企業と従業員が一体となり、互いに成長していく関係」との意味を持ちます。
パーパスは企業の指針そのものであるため、従業員に浸透していれば業務効率、及び生産性の向上、ひいては収益アップも期待できます。
さらに、かつて社会の中心であった団塊世代などとは異なり、将来新しい社会の軸となるZ世代(1995年くらいに生まれた世代)などは、生まれて間もないときからデジタル化が当たり前の環境であったこともあり、企業に対しては「やりがい」や「意義」など求めている傾向があります。
そのため、パーパスを推進することで離職率が低下し、企業にとっても貴重な人材確保につながると言えます。
また、従来は企業の財務状況を重視していた株主などの投資家も、近年は環境や社会への貢献度を考慮するケースが増えています。
したがって、パーパス経営を推進している企業ほど、投資家に選ばれる可能性が高いというメリットもあります。
ただし、他の企業と酷似したパーパスでは魅力的とは言えません。
パーパス経営を実施していくうえでのポイントは、社会全体の発展を目指す中で、オリジナリティを主体に策定することが必要なのです。

パーパス経営実践企業の事例

それでは、実際にパーパス経営を実践している日本企業の事例をいくつか見てみましょう。
まずは、ソニーグループの事例です。
ソニーグループでは、「クリエイティビティ(独創力・創造力)とテクノロジー(科学技術)で世界を感動で満たす」ことをパーパスとして掲げています。
経営陣自らが「ミッションを見直したい」「社員の意見を聞きたい」と全世界で従事している従業員に呼びかけ、対話を重ねた末にこのパーパスを策定したのです。
そして、社員にパーパスの浸透を図るため専門部署を立ち上げ、次のような取り組みを実施しました。

・キービジュアル(各媒体におけるメインのイメージ画像)を作成し、全世界の活動拠点に配布
・経営陣の目標への思いをつづったレターの配信
・ビジュアル(視覚的)で理解してもらえるためのビデオ制作
・経営陣から各業務のマネジメント層に「事業戦略を考えるときは必ず“パーパス”と関連づける」ように依頼
・社内のWebサイトで「パーパスをあなた自身に置き換えるとどうなるか」「日常の業務の中でどのように実践しているか」などをインタビューして掲載

その結果、コロナ禍であっても社員が一致団結して、パーパスを主軸とした業務に取り組めたとのことです。

次は、味の素の事例を紹介します。
同社では、まず自社の存在意義を「食と健康の課題解決」と定義しました。
それを落とし込んだ具体的なビジョンとして、「アミノ酸の働きで食習慣や高齢化に伴う食と健康の問題を解決し、人々がよりよく生きていくことに寄与する」ことをパーパスとして策定しました。
ソニーグループと同様、企業側と社員との対話を重ね、以下のような取り組みで社内にパーパスの浸透を図りました。

・企業の代表と部長クラスとの対話をもとに、組織・個人の両面での目標を設定し、個人目標の発表会を実施
・業務での優良事例を社内SNSで共有し、年に1度表彰
・エンゲージメントサーベイで公開を策定

3つ目のエンゲージメントサーベイとは、先に説明しましたエンゲージメントとサーベイ(測定)を組み合わせた言葉です。
つまり、さまざまな発展に向けた取り組みの効果を測りつつ、社内全体で情報を共有しパーパスを目指しているのです。

まとめ

本記事では、パーパス経営が注目される理由と実践している企業の事例などについて解説してきました。
従業員のエンゲージメント向上を高めるパーパス経営は、企業の生産性向上を期待することができるだけではなく、優秀な人材の確保、社会貢献性のアピールなど、企業に様々な大きなメリットをもたらします。
現代の企業において、従来どおりの経営ビジョンと業務プロセスでの経営戦略ではなく、将来を見据えたパーパス経営が求められていると言えます。
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