給与計算業務のアウトソーシング・外注代行のメリットを解説

 公開日:2021年4月8日

近年、自社の業務を外部に委託するアウトソーシングの活用が盛んです。特に中小企業において、コールセンターや各種事務、ITシステム構築など、何らかの形で外部の専門事業者に業務を委託、アウトソーシングしているのがもはやスタンダードでもあります。

企業内の、総務や経理の業務もアウトソーシングが可能です。特に、給与計算業務は報酬額と同時に納税額などの計算も発生することから専門性も高く、遅れやミスの許されない業務なため、中小企業規模の従業員数でも、エクセルによる手作業で行うことは難しいでしょう。この記事では、給与計算業務のについて、アウトソーシングするメリットや、業務を委託する事業者選びのポイントを解説します。

給与計算業務代行・アウトソーシングとは?

給与計算業務とは

まず初めに企業における給与計算の業務内容は大まかに下記の通りです。

  1. データ登録
    扶養家族、口座、変動支給控除などの個人情報変更(申請~承認含む)、入社・退職などの発令情報登録、勤怠申請・承認~月次集計~データ取り込みなど
  2. 給与計算実行
    給与計算実行および計算結果の検証(給与項目ごとの妥当性チェック)
  3. 給与後処理
    明細書発行、振込ファイル作成、会計連携など給与計算結果確定後の後続業務

給与計算業務の難しさ

給与計算業務は、従業員の給与を計算して、税金や社会保険料などを差し引いて公的機関に納付する業務であるため、厚生年金の金額に誤りがあれば、従業員の将来の年金額に影響する、税金のミスであれば追徴課税されるなど、業務上のミスによる影響が大きい業務であるともいえます。また、給与計算には労働法や税法など、いろいろな法規制による縛りがあり、正確に計算することが簡単ではありません。さらに法律は毎年細かい部分が改正されるので、その時点の法律の内容にしたがって給与計算することが求められるなど、法令への理解や専門知識が求められることも難しさの一旦といえるでしょう。

  1. 計算する項目が多いところ
  2. 少しのミスが大きな失敗に繋がること
  3. 専門知識が必要であること

給与計算業務をアウトソーシングするメリット

企業希望の大小にかかわらず、給与受給者がいるのであれば、必ず「給与計算業務」は発生します。しかし、給与計算業務は基本的にコストセンター(直接的な利益を生まない部署)であることから、配置人員は少なくしたいという思いはどの企業でも共通していながら、ノウハウが属人化しやすい業務でもあるため業務改善、効率化におけるコストを考えると対応を先送りにされやすい業務でもあります。

ここでは、そんな給与計算業務におけるメリットをご紹介します。

メリット①:正確さ

給与計算業務は社会保険料、税金などの規定が細かく、担当者の負担が大きい業務です。また法令の改正に対しても自社で行っていると情報のキャッチアップが漏れる可能性があります。給与計算業務は、従業員の生活にも大きく影響し、一度のミスが訴訟につながるリスクがあります。また給与の計算ミスは従業員だけではなく、税務上のミスにもつながるリスクを抱えており、企業の信用問題に発展する可能性もあります。アウトソーシングをおこなうことで、正確な計算はもちろんのこと、法令の改正にも対応していることは安心感があります。

メリット②:コスト削減

アウトソーシングを利用して、給与計算業務を代行することで、

  • 担当者の人件費
  • 給与計算ソフトの利用料
  • 給与計算担当者の採用費
  • 教育コスト

などを削減することが可能になります。

自社で対応している企業では、給与計算業務に関するコスト感覚が掴みづらい部分もありますが、アウトソーシングをすることで削減したコストが明確になります。また企業の規模が大きくなるほど、外注することでの人的、時間的なコストの削減効果を大きく感じることができるでしょう。

メリット③:属人化の防止

コストセンターである給与計算業務は、配置人員も少なく特定の人が業務を担当し続けることが多くあります。しかし、給与計算業務が属人化してしまうと下記のようなリスクも発生します。

  • 担当者の急な休職、退職、体調不良による欠勤で業務が滞る
  • 担当者が1人の場合、チェック体制がなくミスが発生する。ミスが発生しても気づかない

その人がいないと業務ができない状態というのは、企業継続において大きなリスクとなります。給与計算業務の外注化というのは、企業継続の観点からも大きなメリットです。

メリット④: コア業務への集中

給与計算業務は、企業の利益に直結しない業務でありながら、専門性と正確性が必要と、求められるハードルは高く、さらに通年忙しい訳ではなく月次の給与計算事務や年末調整などの決まった時期にのみ忙しいルーティン作業です。給与計算業務を外注、代行することで、担当者が本来注力すべき業務(人事採用、労務管理など)に集中できるようになります。

メリット⑤:法令への対応

給与計算業務における税制や社会保険に関する法令は毎年のように改正されています。社内の担当者のみで給与計算業務にあたる場合は、このような法令への対応をタイムリーに行うことが要求されてしまいます。法令対応には、専門的な知識も必要であり、自社の担当者のみで全てに対応することは容易ではありません。給与計算業務を代行する企業であれば、労務士などの専門家が監修しているケースが多いので、法改正への対応もスムーズです。

給与計算業務のアウトソーシングが広がる背景

現在、人事給与計算業務分野におけるアウトソーシングの市場規模は、2018年度で3,320億円程度、人事・総務関連業務のアウトソーシング市場規模全体では、前年度比6.6%増の7兆7,823億円と、かなりの活況であることが見てとれます。

※矢野経済研究所「人事・総務関連業務のアウトソーシングビジネス調査レポート2020」より

そもそもこの分野のニーズが高まった背景には下記の要因があります。

  • 就労人口の減少による人材確保難の顕在化
  • 貴重となった社内人材の、コア(中核)業務への配置
  • 業務に精通した熟練労働者の定年退職 など

また、アウトソーシング需要が拡大している状況のなか、サービス導入先の企業の裾野が、大企業から中小企業へと広がりを見せていることも、市場全体の拡大を後押ししています。

アウトソーサーを選ぶ時のポイント

実際にアウトソーシングを検討した場合、複数のサービス提供企業を比較検討する必要が出てきます。その際に委託先(アウトソーサー)を選ぶポイントをまとめました。

ポイント①:専門性

給与計算業務は正確性、及び法令に関する専門知識が重要になります。業務を委託する企業がどの程度の専門知識を有しているか?、対応してきた企業の規模や実績はどうか?など、専門性は重視すべきポイントとなります。

ポイント②:対応範囲

給与計算業務のアウトソーシングを利用する際に、業務範囲はどこまで委託するかは、それぞれの企業の状況によって異なります。また委託先によってもアウトソーシングできる内容は多岐に渡ります。給与や税金の計算業務のみならず、人事領域の業務を委託するなどの広範囲でのアウトソーシングであれば、導入費用も大きく変わってきますが、コスト削減を期待できる側面もあります。業務をどこまで委託するかは、きわめて重要な検討材料といえるでしょう。

ポイント③:料金

上記の2点に加え、さらに利用料金を比較した上で検討しましょう。またアウトソーシングを利用する目的がコストカットである場合は、料金と導入による削減コストのシミュレーションも必要不可欠といえるでしょう。委託先や委託する業務範囲によって、料金も変動します。予算に応じての判断が必要になります。

まとめ

給与計算業務のアウトソーシングにはメリットもデメリットも混在しています。導入においては、「コストを下げたい」「業務を軽くしたい」といった単純な理由ではなく、十分な比較、検討が必要です。また導入した際にも結果を振り返り導入における効果検証を行うことが担当者には求められるでしょう。

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