事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければなりません。
職場で健康診断を実施する場合は、従業員の勤務時間中に時間を設定するケースが多くみられます。
健康診断の時間は労働時間になるのでしょうか。
また、従業員がコロナワクチンの予防接種を受けたときの時間はどうでしょうか。
今回は、健康診断やコロナワクチンの予防接種の時間についてどのように取り扱うのが妥当なのかをまとめました。
健診にも種類があるため、どの健診を労働時間として取り扱うべきか
事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければなりません。
事業者に実施が義務づけられている健康診断には、以下のものがあります。
定期的な「一般健康診断」(66条1項)
「特殊健康診断」(66条2項・一定の有害業務に従事する労働者に対するもの)
一般健康診断については、業務遂行との関連で行われるものではないため、労働時間とするかどうかは労使協議で定めるべきです。
一方、「特殊健康診断」は業務遂行に関連して行われるものであるため、所定労働時間内に行われることが原則となります。
もし、時間外に行われた場合には割増賃金の支払いが必要になりますので、予約時等に注意が必要です。
一般健康診断の結果、異常所見があると診断された労働者が二次健康診断(労災保険法26条関連)や再検査や精密検査を受けた場合も、労働時間とはなりません。
ワクチン接種の時間はどのように取り扱うのが妥当か
職場における感染防止対策の観点からも、労働者が安心して新型コロナワクチ ンの接種を受けられるよう、労働時間の取り決めを明確にしておくことは重要です。
たとえば、労働者がワクチン接種の時間に、業務から離れることを認めて、その分終業時刻の繰り下げを行うことなどや、ワクチン接種の時間に、業務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働時間として取り扱うことなどが妥当でしょう。
ワクチン接種の時間の取り扱いは就業規則に明記すべきか
前述のワクチン接種の時間の取り扱いを運用する際には、就業規則に明記した方がトラブルを避けられます。
常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続が必要となります。
こうしたワクチン接種の時間の取り扱いは、労働者が任意に利用できるものであり、厚生労働省が推奨するワクチン接種を受けやすい環境整備の一環です。
労働者にとって不利益なものではなく、合理的な取り組みであり、就業規則に明記して労働者に周知することで不公平感やトラブルを避けることに繋がると考えられます。
まとめ
今回は、健康診断やコロナワクチンの予防接種の時間をどのように取り扱うのが妥当なのかをまとめました。
いずれの場合も、ポイントは労働者が安心して受けることができる職場環境の整備です。
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