ChatGPTを活用した人事業務のメリットと注意点とは

 公開日:2023年4月25日

2022年11月、AI(人工知能)の研究を行っていたOpenAIが新しいチャットサービス「ChatGPT」を公表しました。
ChatGPTは世界中で大きな話題となり、サービス開始からわずか2カ月でユーザー数が1億人を突破したと言われています。
新しいといっても従来のチャット形式で利用できるため、特別な知識やスキルなどは不要です。
さて、このChatGPTとはどのようなものなのでしょうか。
そして、企業において人事業務などで導入した場合のメリットと注意点にも触れて解説していきます。

ChatGPT誕生までの軌跡

対話型AIであるChatGPTの開発は、まさに世界中にイノベーションをもたらしました。
ChatGPTをリリースしたOpenAIは、もともとはイーロン・マスク氏らが出資して2015年に設立された非営利組織です。
しかし、2019年にAI技術を社会で実用化した営利目的の組織として、マイクロソフト社などが10憶ドルを出資して「OpenAI・LP(リミテッド・パートナーシップ)」を設立しました。
マイクロソフト社が参入したことにより、OpenAI・LPではマイクロソフトが持つ豊富なデータやリソースを活用できるため、開発のスピードが加速しました。

GPTとは何か

GPTは「Generative Pretrained Transformer」の略で、Pretrained(事前学習済)のGenerative(文章生成型)、Transformer(深層学習モデル)を意味します。
ChatGPTの中枢であるGPT-3(現在は改良されたGPT-3,5)のシステムは、1,750億のパラメーター(変数)を読み込んでおり、前のバージョンと比較し格段に性能が上がっています。

ChatGPTの何が凄いのか

ChatGPTが対話型で返答する内容は、現時点においてもハイレベルに達しています。
たとえば、カインズやワークマンといった企業を傘下に持つベイシアグループについて、「ベイシアグループはどのようなDX(デジタルトランスフォーメーション)をしているか」と質問してみると、瞬時に「ベイシアグループではDXを推進するために、さまざまな取り組みを行っています。たとえば・・・」などと、複数の項目を答えます。

さらにマイクロソフトの検索システムである「Bing」とChatGPTを組み合わせて使うことで、利便性が格段に高まりました。
たとえば、先述のベイシアグループについてBingで検索した場合、最上部にChatGPTの回答、その下にはGoogleと同様に検索結果が出て、それらを同時に見ることができます。
また、ChatGPTの回答の中でもっと知りたいと思った場合、そこをクリックすることでChatGPT専用画面に切り替わる非常に有用な仕組みとなっています。

ChatGPTを始めるには

文章を要約してくれたり、コンピューターのプログラムを書いてくれたり、あるいはさまざまな相談に答えてくれたり、あらゆる分野で高い機能を持つChatGPTですが、利用を始めるには開発企業であるOpenAIのサイトにアクセスし、自分のアカウントを作る必要があります。
そして、メールアドレスと名前、電話番号を登録するだけで利用可能です。

人事業務にChatGPTを導入するメリット

作業の効率化とコスト削減

スピーディーに大量の情報出力が可能なことは、ChatGPTを導入する大きなメリットと言えます。
たとえば、「例文を10個作成して」と入力すると、わずか30秒程で生成します。
AIだからこそのスピード感ですが、とても人間では不可能です。
また、ChatGPTは翻訳や要約、関数やコードの記述などもサポートしてくれるため、さまざまな場面で作業時間の短縮やコスト削減が見込めます。
勤怠管理などもChatGPTの得意な分野と言えるでしょう。

公平性の確保

ChatGPTが人事評価を行うことで、人間特有の先入観や偏見といった感情を介入することなく、あくまで情報に基づいた客観的な基準で評価することができ、公平性を保つことができます。
これは、採用活動に関しても同じことが言え、いわゆるミスマッチの雇用を避けることが期待できます。

話しづらい内容の相談ができる

従業員が職場の人間関係や業務量の不公平性など、直接上司に相談しづらいことがあると仮定します。
その場合、ChatGPTに相談することで、適切なコミュニケーションの取り方やタスクを遂行する順序などを回答してもらい、仕事へのモチベーションが下がらないようにできます。
このことによって、早期退職を減少させるなど会社への定着度を向上させます。

人事業務にChatGPTを導入した際の注意点

対応範囲を見極める必要がある

経済学や古典といった古くからあるテーマで、ネット上にも模範解答が多数あるような内容に対しては的確に回答するChatGPTでも、新しい話題にはついていけないという欠点もあるようです。
人事業務とは少しかけ離れた話になりますが、ある企業で2023年3月に開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)において、日本代表として活躍したヌートバー選手のことをChatGPTに聞いてみたところ、実際の情報とは異なる回答が返ってきました。
質問はシンプルに「ヌートバー選手のことを教えて」という内容でしたが、ChatGPTから返ってきた回答は「ヌートバー選手とは競技力を高めるためにニュートラルフードと呼ばれる食品や栄養補助食品を摂取し、認知能力や集中力、反射神経などを向上させ競技に臨む選手を指します」との回答が表示されました。(2023年3月12日時点)

このようにChatGPTでも「万能ではない」ということを認識しつつ、ChatGPTの得意分野での業務活用が求められます。

利用制限が求められる

ほぼ人間と同じように言語を操る進化したチャットサービス「ChatGPT」ですが、米国の政治リスクの専門コンサルティング「ユーラシアグループ」では、2023年の10大リスクのうち「生成AI」を3位に位置付けています。
このユーラシアグループは、「大混乱生成兵器」と名付け、AIの革新的な進歩が扇動政治家を生んだり、権威主義者に力を与えたりして、ビジネスや市場に混乱を与える危険性があると唱えています。
その理由として、ChatGPTの利用によってコンテンツの作成に参入障壁がなくなると、コンテンツの量は爆発的に増加していき、ユーザーの多くは事実とフィクションを区別できなくなるとしています。
偽りの情報が横行すると、ビジネスや民主主義の基盤である信頼が損なわれると指摘しています。

情報漏洩のリスク

ChatGPTは膨大な量の情報を学習しながら精度を高めます。
そのため、共有された情報は保護されず公開される可能性があることを認識しておかなければなりません。
開発中の製品や経営状況など社内の機密情報はもとより、人事業務で扱う個人情報などを安易にChatGPTに入力してしまうと、個人情報保護法やプライバシーの侵害などに抵触する可能性も否定できません。
実際、日本国内のIT・デジタル企業にアンケートを行った結果、楽天・リクルートはChatGPTの導入を「検討中」としている一方、NTTドコモ・DMM.com・KDDI・ソフトバンクなどは「活用していない」または「認めていない」との回答でした。
現時点では、ChatGPTのセキュリティ面を危惧している企業が多いのも事実です。

まとめ

AI技術の進化で急速に普及するChatGPT。
さまざまな分野で活用されるようになった一方で、情報漏洩のリスクやプライバシーの問題など、多くの課題も抱えています。
判断能力に限界があるChatGPTに100%人事業務を代行させるなどということは不可能であり、人事担当者と協力し合って活用することが効率化につながるでしょう。
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