近年、クラウドが浸透する中でSaaSの導入を検討する企業が増えてきています。SaaSはパッケージされたソフトウェアを利用するよりも、スピーディー且つ初期導入費用を抑えられるなどのメリットがあります。業務効率に効果的な導入をするには、SaaSの特徴や運用の流れを理解する事が必要です。こちらの記事では、一般の経理・人事担当者にも分かりやすくクラウド導入、SaaS導入のメリット・デメリットを解説したいと思います。
目次
SaaSとは?
SaaSとは(Software as a Service)の略であり、直訳すれば「サービスとしてのソフトウェア」になります。一般的に「サース」「サーズ」と呼ばれています。
SaaSの特徴
従来のソフトウェアの様に、PCや端末のローカル環境にインストールしてサービスを利用する仕組みではなく、サーバー上で稼動しているソフトウェアを、インターネットを経由して利用者がサービスとして利用する仕組みを指します。

クラウドとの違い
SaaSと同じ様に耳にすることが多いクラウドというワードですが、クラウドサービスとSaaSに大きな違いはありません。クラウドサービスは概念的であり、SaaSはサービスやシステムを表す言葉として使われています。
具体的なクラウドサービス
SaaSの代表的なサービスには以下のようなものがあります。
- Gmail・Yahoo!メールなどのフリーメール
- OneDriveやDropboxなどのオンラインストレージ
- はてなブログやアメーバブログなどのブログサービス
- Office 365・G Suiteなどのビジネス総合ソフト
SaaSのメリット
メリット①:導入が簡単
SaaSを導入する場合は、パッケージされたソフトウェアのインストール作業が必要ありません。PCの環境を設定する必要もなく、インターネットを経由してユーザーアカウントを取得すればすぐに利用できる為、スムーズに導入できるメリットがあります。
メリット②:時間や場所、端末を問わず利用できる
SaaSはインターネット経由で利用するため、PCやタブレットなど端末が違っていても同一アカウントであれば利用でき、時間や場所を選ばずに利用ができます。
メリット③:導入費用が安いコスト
SaaSでは、自社でのソフトウェア開発を行なうことはないので、開発に関わるコスト及び導入に関するコストを抑えることができます。またSaaSの利用には重量課金制、サブスクリプションサービスが取り入れられていることが多く、パッケージ型のソフトウェアの導入と比較しても初期費用、利用共にコスト軽減できるメリットがあります。
メリット④:高い更新性
SaaS導入におけるメリットの一つに、ソフトウェアのアップデートがタイムリーであることが挙げられます。SaaSはクラウド上でベンダー(サービス提供者)が管理をおこなっているため、サービスのアップデートや機能追加は更新のタイミングで利用することができます。
メリット⑤:高度なIT技術で安定した運用ができる
SaaSにおいては、サービスを提供している企業がシステム開発をおこない、高度な技術や環境を持っており、サービスのバージョンアップも対応してもらえるため、自社で管理する必要がなく運用に関しても安定性があります。
メリット⑥:セキュリティ対応
地震などの災害時、障害時にはベンダー側で復旧対応をおこない、電源供給や耐震においてもクラウドやSaaSは、サービスへの影響を最小限に留めるなど、高いセキュリティを保っているため安心です。
SaaSのデメリット
SaaS導入におけるメリットを紹介しましたが、一方でSaaSにはデメリットも存在します。導入に関しては、デメリットも含めて検討することをオススメします。
デメリット①:大きなカスタマイズができない
SaaSは、クラウド環境に用意されたソフトウェアを利用できるサービスなので、企業毎に合わせて大きなカスタマイズが難しい側面があり、企業側の業務をSaaSの仕様に合わせる必要があります。
デメリット②:利用のセキュリティガイドラインが必要
企業のインターネット利用においては外部ソフトウェアとの接続が制限されている場合があり、接続のために制限の一部解除やセキュリティのガイドライン整備が必要な場合もあります。
デメリット③:プロバイダーの開発計画による制約を受ける
SaaSはベンダー側によって管理されており、新機能をリリースするためのバージョンアップやシステムメンテナンスは基本的にサービス提供側の都合で行われるため、その間は利用ができないなどの制限を受ける場合はあります。
SaaS導入・運用に関してのポイント
SaaS導入のメリット・デメリットのほかに、気をつけるポイントをまとめました。
ポイント①:セキュリティポリシーとのマッチング
かつてのクラウドサービスは、物理的なサーバーを社内に設置していないためセキュリティに関して疑問視される事が多かったですが、現在はどのベンダーも強固なセキュリティ対策に取り組んでいるので大きな懸念点ではなくなりました。自社とのセキュリティポリシーとマッチして運用しやすいSaaSを選択しましょう。
ポイント②:PCの稼動環境
社内から外部ネットワークに接続するため、ネットワークの接続制限に関して社内で確認をする必要があります。また、業務で使用しているOSやブラウザが、導入検討しているSaaSでサポートされているかも確認しておく必要があります。
ポイント③:費用体型
運用後の費用に関してのシミュレーションは必須です。課金体型が従量課金制の場合は業務によってはデータの容量が多くなることもあります。また、SaaSを導入すれば全てがコストダウンするわけではありません。小規模なシステムをSaaSで代替するのであれば、費用が安いサービスやプランを選び、スモールスタートを心がけると良いでしょう。
まとめ
SaaSは必要とするソフトウェアを時間や場所の制約を受けることなくインターネット上で利用できます。システム管理をする必要がなく導入のハードルも低い特徴があります。是非この記事で紹介したSaaSのメリット、デメリットを参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか。